童話(児童文学)の書き方を案内した本です。 というと、身もふたもありませんが、学校のテキストではありませんし、解説書でもありません。著者がどのようにして、なぜ、童話に取り組んできたかということが中心にまとめられている本です。 著者は、「さんまシリーズ」や『コロッケ天使』などの作品があり、最近では『10歳の放浪記』で波瀾の幼少期を告白した、上條さなえさんです。本書の前半では、結婚し、家庭を持ったあとも自らの半生を家族に語れないことを癒すかのように童話づくりに取り組む様子が描かれており、読み進めると『10歳の放浪記』の続編のような錯覚に陥ります。 また、著者の作品の原点になるエピソードも多く盛り込まれていて、後半部分に述べられている、「何を童話にするか」ということが上條さんの経験で説明されています。 37歳のデビューから58歳までの21年間、「童話を書く作業で癒され、やさしさを取り戻すことができた」「1枚1枚書き進めるたびに“穏やかな風”が自分の内側に吹いてゆく」といった著者の実感は、書くことで自分や社会と折り合いをつけていくことが作家として必要な資質であることを物語っている気がします。 書くことへの強い動機や渇望ももちろんですが、書く行為そのものにモチベーションをゆだねることができるか否か、著者はそこまで言っていませんが、そう感じることができる読後感でした。 スレッドテーマ [ 小説・文学 … 児童文学・童話・絵本 ]
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